ウェールズ料理の著名な評論家、ボビー・フリーマンは、ウェルシュ・チーズプディング(ウェールズ語では pwdin caws pobi Cymreig)を、「チーズトースト(caws pobi)の究極の進化形」と評しました。
これは大げさな表現ではありません!チーズをのせたトーストは少なくとも15世紀からウェールズで国民的な人気を誇り、現在でもウェルシュ・レアビットとして親しまれています。ウェルシュ・レアビットはチーズを使った料理で、9月には記念日まで設けられているほどです。
チーズプディングは、とろける食感と濃厚な味わいが魅力の一皿で、ランチやディナーにぴったりの贅沢な料理です。
このレシピは、フランスの伝統的な田舎料理 パナード に似ています。どちらも固くなったパンを活用する料理として発展してきましたが、フランス版は肉のストックや野菜を加えることが多い点が異なります。
そのため、食材を無駄にせず節約したい方にもぴったりのレシピです。シンプルで満足度が高く、作り方もとても簡単です。
どんな時に食べられる?
ウェルシュ・チーズプディングは、一日中いつでも楽しめますが、特にランチタイムに食べられることが多いです。冷製ハムやローストビーフ、マスタードドレッシングをかけたグリーンサラダと合わせると相性抜群です。
シェフからのひとこと
美味しいウェルシュ・チーズプディングを作るには、使うパン選びが重要です。理想は、数日経った素朴なパンです。
もちろん、チーズ選びもポイントです。おすすめはウェールズのカウズ・ケナース社 が手掛けるゴールデン・ケナース・チーズで、熟成前にサイダーで洗ったとろけるように柔らかいチーズです。もちろん、質の良いケアフィリーやチェダーでも、十分に美味しく仕上がります。
伝統的ではありませんが、このレシピではピクルド・ウォールナッツ(酢や香辛料で漬けたクルミ)を加えることにしました。料理の味わいが深まり、食感のアクセントにもなります。
この料理はアレンジも楽しめるレシピです。余った加熱済みの野菜や肉を活用するのにもぴったり。パンの間に茹でキャベツを挟んでも美味しいですし、さらに贅沢に楽しみたいなら、きのこをソテーしてトリュフオイルをひと垂らしするのもおすすめです。
ウェルシュ・チーズプディングの作り方
分量:4人分 | 準備時間:10分 | 調理時間:1時間(浸水時間30分含む)
材料
- 白いサワードウの厚切りパン 4枚(耳は取り除く)
- 柔らかいバター 50g(パンと耐熱皿に塗る用)
- ケアフィリーまたはチェダーチーズ 100g(上記「シェフからのひとこと」参照)
- トッピング用チーズ 50g(ケアフィリー、チェダー、またはパルメザン)、細かくおろす
- ピクルド・ウォールナッツ 2個(薄切り、オプション)
- 卵 1個+卵黄 2個
- 牛乳 250ml
- 生クリーム 250ml
- マスタードパウダー 小さじ1/2
- カイエンペッパー 小さじ1/4
- ナツメグ 1/4個分(すりおろし)
- 塩・黒胡椒 適量
作り方
ステップ1: 熱したグリルでパンの片面をトーストし、反対側にバターを塗ります。
ステップ2: 丸い耐熱皿の底にバターを塗り、トースト面を下にしてパン2枚を敷きます。チーズとピクルド・ウォールナッツをのせ、残りのパンをトースト面を上にして重ねます。
ステップ3: 小鍋に牛乳と生クリームを入れて沸かし、マスタードパウダー、カイエンペッパー、ナツメグ、塩・胡椒で味を調えます。
ステップ4: 耐熱ボウルで卵と卵黄を混ぜ、熱いミルクとクリームを少しずつ加えながら泡立てます。この液をパンに注ぎ、常温で30分ほど置いてパンにしっかり染み込ませます。その間にオーブンを190℃(ファン170℃、ガス5)に予熱します。
ステップ5: チーズプディングの上におろしたチーズをのせ、30分ほど焼きます。表面が軽く膨らみ、こんがり色づいたら出来上がり。熱いうちにお召し上がりください。
このレシピはシェフのアレックス・ヴァインズ(Alex Vines)によって開発・検証されました。彼はロンドンの名店で10年以上にわたり腕を磨き、「シンプルかつ丁寧」な料理スタイルを確立。カーディフ出身のアレックスは、地元産・旬の食材を大切に使うことで、伝統的なウェールズ料理の精神を現代に受け継いでいます。是非、アレックスのInstagramもフォローしてください。