あなたの家族が確実にウェールズとのつながりがある人も、あるいはウェルシュケーキやドラゴンへの説明のつかない愛着から、実は自分は少しウェールズ人なのではないかと感じているだけの人も、いずれの場合にも、あなたの先祖とカムリ(ウェールズ)のつながりを調べることで、家族の歴史に命を吹き込み、知らなかったあなたのルーツの一部を明らかにすることができるのです。

良いニュースとしては、ウェールズの先祖を探るための資料がたくさんあるということです。悪いニュースは、かつてはウェールズでの姓の付け方がとても単調だったため、数え切れないほどの「ジョーンズ(Jones)」、「ウィリアムズ(Williams)」そして「デイビーズ(Davies)」がどの地域にも、どの年にも生まれているため、調査が非常に困難だということです。さらに厄介なのは、公式書類では姓や地名に関するウェールズ語と英語の表記が入れ替わっていることです。

しかし、家系図作りを始めたばかり皆さんでも、心配はご無用です!ここでは、ウェールズの先祖を追跡するための最初のステップを解説し、役に立つ主要な古い資料を保管している場所の詳細や、それらへのアクセス方法についてもご紹介します。

 砲塔のある城の外を歩く家族
コッホ城、トングウィンライス、カーディフ、南ウェールズ

土地の概要

先祖調査において最初のステップとして最も有効なのは、家族や家族の友人からできるだけ多くの情報を集めることです。情報が多ければ多いほど、調査は容易になります。たとえば、あなたの先祖が鉱業に従事していたことがわかれば(19世紀から20世紀にかけて、多くの人が鉱山で働くためにウェールズに移住しました)、調査の出発点として非常に有利です。

家族に関する一般的な情報を収集した後は、歴史的な生活をつなぎ合わせるのに役立つ7つの主要な書類があります。それは、国勢調査データ、教会(結婚や埋葬)の登録簿、雇用記録、犯罪記録、アーカイブ新聞、さらに礼拝堂の記録と地域の地図です。

 壁に貼ってある地図
十分の一地図、リドゥラン城、デンビーシャー、北ウェールズ

礼拝堂の記録は、ウェールズでは特に有益です。というのも、この国には相対的に多くの非英国国教徒が存在していたため、教会の教区記録には彼らが記載されていないことがあるからです。また、ウェールズは主に農村地域であるため、新しい一般的な地図や古い十分の一地図は重要な役割を果たします。特に、先祖の町や村がわかっている場合、古い地図は最寄りの教会や墓地を特定するのに役立つことがあります。地元の人々が結婚や埋葬された最も合理的な場所であり、そこに記録が保存されている可能性が高いからです。

しかし、古い資料を調べ始める前に、ウェールズの歴史的な地域構成に慣れておくことが賢明です。そうすることで、ウェールズの正しい地域に対応する資料を確実に参照できるようになるからです。ほとんどの調査では、1536年から1974年まで存在していたウェールズの13の旧州名を使用する必要があります。それらは、アングルシー、ブレコンシャー、カーナーヴォンシャー、カーディガンシャー、カーマーゼンシャー、デンビーシャー、フリントシャー、グラモーガン、メリオネスシャー、モンマスシャー、モントゴメリーシャー、ペンブルックシャー、ラドノーシャーです。

チャペルへと続く小道
礼拝堂と墓地
北ウェールズのデンビーシャーのコルウェンにあるラグ礼拝堂とペンブルックシャーのナルベルス近郊のマルトゥレットイにあるバーネッツ・ヒル礼拝堂

調査を開始

調査を開始するための情報源は、オンラインとオフラインの双方に豊富にあります。

もしウェールズへの旅が可能であれば、最初に訪れるべき場所はアベリストウィスにあるウェールズ国立図書館です。この図書館には、出生、死亡、婚姻の記録、犯罪記録、国勢調査の書類、新しい放送アーカイブ(英国で唯一の!)、そしてさまざまな歴史地図などが豊富に揃っており、全てを1か所で閲覧できます。さらに、質問に応じてくれるスタッフも常駐しています。

 

exterior of library.
ウェールズ中部、ケレディギオンのアベリストウィスにあるウェールズ国立図書館

ただし、ウェールズ国立図書館のデータベースの多くは、オンラインでも利用可能で、無料でアクセスできます。これらには、1500万件に及ぶウェールズの歴史的な新聞のカタログ(新聞では結婚発表、一般的なニュース、死亡記事が役立ちます)、ウェールズの教会裁判所で認証された遺言書が検索可能なアーカイブ(1858年以前のもの)、そして1730年から1830年の廃止までのウェールズ大裁判所(Court of Great Sessions in Wales)の犯罪記録が含まれます。また、この図書館では30万枚の歴史的な地図のデータもオンラインで提供しており、無料で閲覧することができます。

 

view of exterior of library through bushes.
bilingual slate sign 'Llyfrgell Genedlaethol Cymru' 'The National Library of Wales'.
図書館のドアから見える海の眺め
ウェールズ中部、ケレディギオンのアベリストウィスにあるウェールズ国立図書館

もしあなたの先祖が、ウェールズで鉱山労働者または船員として働いていたと考えられる場合は、これら専用の保存記録があるため、調査が少し容易になるかもしれません。鉱業については、カーディフ郊外にあるグラモーガン・アーカイブ(the Glamorgan Archives)と、スウォンジー大学のリチャード・バートン・アーカイブ(the Richard Burton Archives)に、採掘場で働いていた個々の人々に関する豊富な情報が保管されています。オンラインでは、ウェルシュ・コール・マインズ(the Welsh Coal Mines)のウェブサイトに、それぞれの場所、稼働期間、そして残念ながら命を失った多くの人々のリストを含めた概要が掲載されています。船員向けのモルウィル・カムリ(the Morwyr Cymru)のウェブサイトはさらに充実しており、23,000人を超えるウェールズ商船船員の検索可能なデータや、1795年から1815年にかけて英国海軍に従事したウェールズ水兵の詳細も含まれています。

 

建物と鉱山の車輪
鉱山の地下の階段を上る人々
北ウェールズのカーナーヴォンのベズレルトにあるサギン銅鉱山と北ウェールズのタ二グリッシャイにあるクムモルスィン・スレート鉱山の「ゴー・ビロウ・エクストリーム・エクスペリエンス」

図書館やオンラインデータベースに加えて、先祖調査において重要なのは、地域の家系歴史協会の役割です。ウェールズのさまざまな地域に焦点を当てた、これらの協会が8つあり、これらは非常に知識豊富なスタッフメンバー、主にボランティアによって運営されています。彼らは、地元地域の歴史を調べたい人や、そこで暮らしていた人々の調査を手助けしてくれます。これら多くの協会には、実際に訪れることのできる情報センターがあり、オンラインでも連絡を取ることができます。

他にも役立つウェブサイトとして、あなたの先祖が通っていたかもしれないウェールズの様々な礼拝堂の歴史を紹介するサイトであるアゾルダイ・カムリ(Addoldai Cymru)(ウェールズ宗教建築保護)や、ウェールズに到着または出発した移民船の乗客リストを数百件カタログ化した素晴らしい情報源である移民船謄写団体(Immigrant Ships Transcribers Guild)のサイトがあります。さらには、特定の保存文書が国内のどこに保管されているかを調べるための重要手段であるアーカイブ・ウェールズ(Archives Wales)もあります。

古い石造りの礼拝堂と海の崖
aerial view of old chapel surrounded by a field with sheep.
ペンブルックシャー、ボシャーストン付近にあるセント・ゴーバンズ礼拝堂と北ウェールズのアングルシーにあるリグウィ礼拝堂

支援

十分の一地図と国勢調査の内容を区別するのに苦労している場合は、取り扱いが簡単で、一度に複数の保存文書や記録様式を検索できる機能を備えた有料サービスを利用することもできます。

その2つの例として、1921年のイングランドおよびウェールズの国勢調査を含む、多数の重要文書への独占的なオンラインアクセスを提供する「ファインド・マイ・パスト(Find My Past)」と、顧客のために300億件以上の記録を検索可能にしている「アンセストリー(Ancestry)」があります。

ドラゴン・ツアーズ(Dragon Tours)は、より実践的で体験的な方法で、ウェールズで家族の繋がりを探す人々向けに、オーダーメイドの先祖探しの旅程を提供しています。このツアーでは、専門のガイドが依頼者をウェールズ各地にある家族の歴史に関連する情報を保管している様々な場所や、その人の家系にゆかりのある場所へ案内します。この会社は、顧客の先祖の家を特定したり、長い間離れていた親戚を再会させた実績があると提唱しています。

より従来型の民間調査会社としては、遠方からでもあなたの難しい調査を引き受けてくれる「フー・ワット・ウェア・リサーチ(Who What Where Research)」や、ペンブルックシャーに拠点を置く「タイム・マシン(Time Machine)」などがあります。

最後に、「系図学者教会(the Society of Genealogists)」や「アーカイブ系図学者・研究者協会(AGRA :the Association of Genealogists and Researchers in Archives )」のような組織では、ウェールズの家系調査に関するオンライン・ワークショップを頻繁に(時には無料で!)開催しており、ウェールズ人の可能性がある人々が、「ラドウィン・ガムライグ(Rydw i'n Gymraeg:私はウェールズ人です)」と自信を持って言えるための根拠となる情報を提供しています。

城跡のアーチの近くを歩く家族
北ウェールズのデンビーにあるカステス・ディンビッフ/デンビー城

関連情報

 前景にスレートの山、背景にはテラスハウスと山がある

ユネスコーウェールズの世界遺産

ウェールズには、現在4つユネスコ世界遺産があります。ウェールズの歴史と世界にとって、それぞれがなぜそれほど重要か説明していきます。