命を救うための誓い
2011年の津波から復興中の日本の地域と、ウェールズ南部の12世紀の城にある小さな国際学校、UWCアトランティックカレッジの学生たちは、何千マイルもの距離を隔てていながらも深い絆で結ばれています。
津波後、UWCアトランティックカレッジの卒業生であり、RNLI(ロイヤル・ナショナル・ライフボート・インスティチューション)のボランティアでもあるロビン・ジェンキンスは、津波の被害を受けた根浜を訪れ、豊かな海洋文化を誇る日本において、ボランティアによる救命ボートサービスが存在しないことを知り、「救命ボート」というアイデアを思いつきました。
これは、完璧に機能する救命ボートステーションを貨物コンテナ内に設置するというものでした。
UWCアトランティックカレッジの学生たちの協力を得て、試作品が完成し、2016年にはロビンと学生たちがそれを根浜に届け、地元の人々に1ヶ月間の訓練を行い、救命ボートクルーとして育てました。
地域の人々によって「Wales Go!」と名付けられたその救命ボートは、復興の象徴となりました。このプロジェクトは、その後、世界中で1,000人以上を海上救助の訓練を行ってきた「アトランティック・パシフィック」組織の始まりとなりました。
スタジオジブリにインスピレーションを与えたウェールズ
日本の有名なアニメーターで、スタジオジブリの創設者である宮崎駿監督が、スタジオのデビュー作『天空の城ラピュタ』の風景に南ウェールズの風景からインスピレーションを受けたことをご存じでしょうか。
宮崎駿監督はウェールズを2回訪れ、そのときに訪れた鉱山町の風景を『天空の城ラピュタ』に反映させました。また、ラピュタ城のデザインは、ウェールズにある3つの中世の城、ケアフィリ城、カーナヴォン城、パウィス城を参考にしたものです。
宮崎監督は、1980年代の炭鉱労働者のストライキ後の状況を目の当たりにし、生活を守ろうとするウェールズの鉱山労働者たちの苦しみに心を打たれました。
このテーマは『天空の城ラピュタ』にも反映されています。しかし、スタジオジブリとウェールズのつながりはこれだけではありません。ジブリの2004年の名作『ハウルの動く城』は、原作のファンタジー小説の一部がウェールズを舞台にしており、主人公のハウルもウェールズ出身です。
映画の英語版では、ハウルが一瞬ウェールズ語を話すシーンもあり、アニメでウェールズ語が聞ける貴重な場面となっています。


ラグビーへの情熱
ウェールズは長い間ラグビーを情熱を注いできました。ラグビーはウェールズ文化の重要な一部であり続けていますが、日本でも年々人気が高まっています。
1975年、ウェールズ代表が日本代表と対戦する試合を観戦したことがきっかけで、2019年のワールドカップ開催を牽引した一人、徳増浩司氏がラグビーに魅了され、両国の間に共通の情熱が芽生えました。
それ以来、1970年代のウェールズ代表の選手たちの後を継ぐ選手が日本に拠点を構えるようになり、ウェールズの記録的なトライスコアラーであるシェーン・ウィリアムズもその一人です。
彼はキャリアの最後を三菱重工相模原ダイナボアーズで過ごしました。また、リアム・ウィリアムズ、ガレス・アンスコム、ジェイク・ボールなど、他のウェールズのスター選手たちも日本のチームに加わりました。
日本で開催されたワールドカップの際、ウェールズは日本のファンから多くのサポートを受けました。
15,000人の日本のファンが北九州スタジアムに集まり、ウェールズチームの練習を見学し、ウェールズの国歌を歌うシーンもありました。このように、ウェールズと日本のラグビーの絆は深まってきています。
姉妹城
2019年、ウェールズ北部のコンウィ城と日本の兵庫県にある姫路城の姉妹都市締結が行われ、姫路市長の清元英康氏はこれを「美しい友情の始まり」と呼びました。
この二つの城は、世界遺産に登録された初めての姉妹都市となり、両地域の共通点を祝う絶好の機会となりました。
コンウィ城と姫路城は、いずれもその国で最も保存状態の良い伝統的な城の例として知られており、それぞれの文化に根ざした独特の建築様式を誇っています。
コンウィ城の象徴的な石壁と高くそびえる塔は、ウェールズの他の城々にも見られる特徴であり、姫路城の木造の構造と独特な屋根は、日本の名所としてすぐに認識されます。
この姉妹城の締結により、ウェールズと日本のさらなる絆が深まりました。


共通する創造性への情熱
多くのウェールズのアーティストが日本の文化からインスピレーションを得て、日本での展示やコラボレーションを行っており、その逆もまた然りです。この交流は両国のクリエイター同士のコラボレーションを生み出しています。
有名な日本のアーティスト、田名網敬一氏は、ニューヨークのサイケデリック文化革命の先駆者として名を馳せ、彼の多作な作品は世界中でのコラボレーションを生み出しました。その中には、ウェールズのバンド「スーパー・ファーリー・アニマルズ」との関係もあります。このバンドは、日本でも熱狂的なファンを持ち、田名網氏の作品に対する深い愛から彼を探し出し、2007年のアルバム『Hey Venus』のカバーを彼にデザインしてもらいました。
昨年10月、ウェールズの多才なアーティスト、マーク・ジェイムズが手がけたプロジェクトでは、カーディフに現れた謎の黒いコンテナが、訪れる人々をある首都から別の首都へと運ぶというアートプロジェクトが展開されました。このプロジェクトは、彼が東京で経験した鮮やかな街の光からインスピレーションを得たものです。