ラグビーはウェールズと日本の両国で愛されている競技です。

2019年のワールドカップ開催を日本に誘致した一人、徳増浩司氏は、1975年に日本代表と対戦する「美しい」ウェールズ代表を観てラグビーに魅了されたといいます。

それ以来、1970年代のウェールズ代表選手たちの中には日本に住むようになった選手も多く、その中で最も有名なのが、ウェールズ代表の歴代トライスコアラーの記録保持者であるシェーン・ウィリアムズです。

では、ウェールズラグビーの伝説であるシェーン・ウィリアムズは、どうして日本に魅了されたのでしょうか?そして、今後ウェールズと日本のラグビーの関係はどうなるのでしょうか?

シェーン・ウィリアムズはウェールズのラグビー史上最も偉大な選手の一人として輝かしいキャリアを誇ります。シックス・ネーションズでは、複数回のグランドスラムを達成し、ラグビーの「世界最優秀選手」に選ばれた唯一のウェールズ人としても知られています。

2012年6月、国際舞台を退いたわずか数ヶ月後、故郷グラナマン出身のシェーンはオスプリーズでのプレー後、現役を引退しました。

引退後は家族と過ごす時間や、ガワー半島のビーチでゆっくり過ごすことを計画していました。そして、愛するオスプリーズでのパートタイムコーチとしての活動も考えていたのです。

しかし、計画は突然変わりました。神奈川県から三菱相模原ダイナボアーズへのオファーが届き、シェーンとその家族は、なんと1万キロも離れた日本に引っ越すことになったのです。

ビーチを走るシェーン・ウィリアムズ
Shane Williams

「私はウェールズの小さな町から来たのです。そこには数千人しかいませんでした。ところが突然、周りに3700万人もの人々がいる東京に引っ越すことになったのです」とシェーンは、異国の地で新しい文化に触れることに対する驚きについて話しています。

「誰の言っていることも分からなくて、周りの環境もすごく異質に感じました。でも、みんな本当に親切で、今まで会った人たちの中で一番フレンドリーで、よく助けてくれました。」

「慣れるまでにそこまで時間はかかりませんでした。毎日が楽しくて、文化の違いもとても刺激的でした。」

世界中のラグビーメディアやファンたちの注目を避けた場所で、シェーンの日本移住が静かな引退のように見えるのではないかと考える人もいましたが、実際にはそうではありませんでした。

シェーンは、ダイナボアーズと契約を延長し、選手兼コーチとして新たな役割を担いました。そして、ラグビー界を驚かせた決断が待っていました。

2013年夏、ウェールズ代表が日本を訪れる際、シェーンも歓迎イベントに参加する予定でしたが、最終的には出席できませんでした。

突如として、シェーンはオーストラリアで行われるブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズのツアーに招集されました。これは、引退を考えていたシェーンのプレイヤーとしての実力への大きな信頼を示すものだけでなく、日本のラグビーのレベルと熱気の高さを証明する出来事でもありました。日本のラグビーは、ニュージーランド出身のソニー・ビル・ウィリアムズや南アフリカ出身のジャック・フーリーといった選手を迎えるなど、ますます活気づいていたのです。シェーンの日本での挑戦は、引退ではなく、むしろラグビーのアンコールとなったのです。

ウェールズのラグビーシャツ
ウェールズの国旗とウェールズのシャツを着た人々。

シェーンはその後も何度か日本での滞在を延長し、2015年に現役を引退するまで日本でのキャリアを楽しみました。

しかし、彼の日本での活動は引退後も続きました。

2019年のラグビーワールドカップが近づく中、シェーンは日本がどれだけ特別な場所であるか、そして世界中から訪れる50万人のラグビーファンにどんな素晴らしい体験が待っているのかを世界に伝えたいと考えていました。

「日本の人々はイベントに対して本当に熱心で、皆が楽しめるように、そして必ずまた日本に来たくなるようにしてくれるようにしっかりと取り組むと思います。」

「3年間日本で過ごし、そこで行われる祭りやイベントを見てきた私としては、これが素晴らしいものになると確信しています。そして、今まで見たことのないようなワールドカップになると思います。」と彼は大会前に世界のメディアに語りました。

では、シェーンは日本という国をどう思ったのでしょうか?

「ほぼ日本全土を見て回りましたが、どこもかしこも違っていて、それが日本の素晴らしさです。本当に圧倒されました。」

日本でもシェーンは愛され、ファンたちはその思いを言葉以上に伝えてくれました。

シェーン・ウィリアムズと日本の関係は、今もなお続いており、ウェールズと日本のラグビー関係も同様に深まっています。

 

 

2025年、ウェールズは15日間の夏のラグビーツアーの一環として日本と対戦し、2試合を行います。1970年代に始まった絆を祝うために、ウェールズと日本の両国から何千人ものファンが集まることになるでしょう。

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