ウェールズとは、正確には何でしょうか?

ウェールズは、グレートブリテン島の一部を形成する国です。この島には国が3つあります:ウェールズとその隣国イングランド、そしてスコットランドです。

ウェールズはまた、英国の一部を形成しています。グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(正式名称)は、ウェールズ、イングランド、スコットランド、およびアイルランド島に位置する北アイルランドの4か国で構成される「主権国家」です。

現在のウェールズはどのように統治されているのでしょうか?

現在のウェールズには独自の政府と議会がありますが、1700年代初頭から1990年代後半までは、ウェールズは英国政府(UK)によって法的に統治されていました。英国政府と英国議会は、どちらもイングランドに位置するロンドンのウェストミンスターを拠点としています。

1997年には、ウェールズにおける法律や政府の政策を管理する、より多くの権限を持つべきかどうかを決定する住民投票がウェールズで行われました。

その投票の結果、ウェールズ議会が創設され、一定の権力のウェストミンスターからウェールズへの移行(「権限委譲」)が始まりました。

この移行は21世紀を通して行われ、近年では、法律を制定して税金を徴収する更なる権限がウェールズに移行されました。

今日、ウェールズには法案を作成、審議、および可決する立法機関としてのSenedd Cymru(セネッズ・カムリ:ウェールズ語で「ウェールズ議会」を意味する)と、ウェールズに住む人々に影響を与える、ほぼ全ての日常的な決定に責任を持つ行政機関としてのウェールズ政府があります。

これは、現在のウェールズには2つの政府があることを意味します。ウェールズ政府と英国政府それぞれが、異なる事柄に対して権力と責任を分かち持っています。

建物を背景にしたウォーターフロントの風景
石造りの床の建物内部と窓から見えるベイの向こうの眺め
ザ・セネッズ、カーディフベイ

権限委譲とは?

権限の「委譲」とは、権力と責任を英国全体のレベルからウェールズ全体のレベルに移す工程を言います。これは、ウェールズの人々が、自分たちの生活に影響を及ぼす政策や法律の制定等の一定の分野で、より多くの発言権を持つことを意味します。

Senedd Cymru(ウェールズ議会)とウェールズ政府は、広範囲における課題に責任があります。これらには、農業、経済、教育、環境、健康、そして社会福祉事業、住宅、地方自治体、運輸、分権税、ウェールズ語が含まれます。

Senedd Cymru(セネッズ・カムリ:ウェールズ議会)

Senedd Cymru(ウェールズ議会)はウェールズの立法府であり、ここで法律が制定されます。ウェールズ議会はウェールズ各地の選挙区や地域の人々を代表するために選出された60人のウェールズ議会議員で構成されています。これらのウェールズ議会議員(MS)メンバーは、5年に1回行われる選挙で投票されます。「候補者」と呼ばれる選挙に立候補する人々は、多くの場合、類似した政治的見解を持つ人々のグループである「政党」に所属しています。

ウェールズ議会は首都カーディフに置かれており、建築家リチャード・ロジャースによって設計された特徴的な建物の中にあります。一般公開されているので、ウェールズ議会のツアーを予約したり、パブリック・ギャラリーから議会の様子を見学することもできます。

上から見た円形に配置された机
議事堂、セネッズ

ウェールズ政府

 

ウェールズ政府は「行政機関」であり、ウェールズにおける日常的な行政上の決定のほとんどを行っています。選挙後、通常政府は最も多くの議員がウェールズ議会で選出された政党によって形成されますが、時には2党あるいはそれ以上の政党が一緒になって「連立政権」を構成することもあります。

ウェールズ政府は、ファースト・ミニスター(現在はマーク・ドレイクフォードMS首席大臣)によって率いられており、彼はウェールズ議会議員から選ばれた閣僚のチームによってサポートされています。閣僚たちは、特定の行政領域に関する決定を下します。

ウェールズ政府は1999年に設立されました。その最大のオフィスはウェールズの首都カーディフにありますが、他にもウェールズ中にオフィスがあります。

ウェールズ議会議員と代表

選挙では、ウェールズは「constituencies(選挙区)」と呼ばれる、人口がほぼ同規模の地域に分割されます。候補者は各選挙区を代表するための選挙に立候補します。しかし、ウェールズ議会の選挙システムは、英国議会で行われているものとは少し異なります。

英国議会選挙では、各選挙区で最も多い得票数を得た候補者が勝利する「小選挙区制」と呼ばれるシステムを使用しています。

ウェールズ議会選挙でも、各選挙区(合計40)ごとにメンバーを選出するために「小選挙区制」システムが使用されますが、これだと一部の地域で多数の票を獲得したのに、選挙区では議席を獲得することが出来ない政党が出て来る可能性があります。そこでウェールズ議会で広範囲な政治的代表を確保するために、「リスト」と呼ばれる別のシステムによって選出された残る20人のメンバーがいるのです。このシステムでは、「region」と呼ばれる地域選挙区のグループ毎に政党の総投票数を使用します。リスト・システムはまた、選挙区議席を獲得できなかった政党の代表者を増やせるように、公平なバランスも生み出します。

これらの20人のメンバーは、ウェールズの5つの選挙地域を代表しており、各地域毎に4人のメンバーがいます。

16歳以上であればウェールズ議会選挙に投票する権利がありますが、英国議会選挙に投票するには18歳以上である必要があります。

大勢の人々が持っているウェールズの旗
ウェールズの旗

グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の政府

権限の全てが委譲されているわけではないため、いくつかの課題は依然としてウェストミンスターの英国政府によって統治されています。これらには、国防、外交、移民、刑務所、犯罪、そして警察が含まれます。英国政府はまた、大半の税金の徴収を行い、英国議会は英国全体に関する法律を制定しています。英国政府の閣僚は英国議会の議員の中から選ばれ、政府は首相によって率いられています。

このため、ウェールズのすべての選挙区から選出された英国議会の議員もいます。現在、英国議会の議員650人の内40人がウェールズからの議員ですが、この数は変わる可能性があります。これらの選挙は5年に1回行われますが、ウェールズのモデルとは異なり、英国議会の議員は全て小選挙区制で投票されます。

歴史上でのウェールズ

中世のウェールズには、10世紀半ばのウェールズのハウェル良王(Hywel the Good)の時代に記述された独自の法律がありました。

ハウエル王によって作られた法律が失われてから約500年が経過した現在、ウェールズでは再びウェールズ独自の法律の施行が拡大され、そしてウェールズ議会は立法と課税を行う議会となっています。

権限委譲の歴史に関する詳細情報は、権限委譲の歴史(ウェールズ議会)をご覧ください。

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